開発ストーリー
2020年夏、マスクを着用して自転車を漕いでいる時に、この暑くて息苦しい不織布マスクの悩みを解決できないかと考えたことがきっかけで「HEROインナーマスク」の開発に着手しました。マスクを口元から浮かす商品はたくさん市販されていますが、どれも長く装着していると息苦しくなったり、そもそもマスクによるフィルター効果が利かなくなってしまうものも多く、正しくマスクを装着した状態でも呼吸が楽になるマスク補助具が必要だと思いました。
息苦しさを解消するには、マスク内の空気の流れを上から下に流れるようにすることが重要だと考え、電動ファンや鼻腔からの呼気で回転する小型タービン、流れを一方向に規制する「逆止弁」など、実用性や息苦しさをできる限り単純な機構で解決しようと数多くの試作を行いました。そして、総計100個以上の試作モデルを装着して運動する実験を繰り返した結果、「逆止弁は不要で、鼻腔下の「仕切り板」にただの孔を設けるだけでいい」という意外な解決法が見つかりました。
鼻腔から出た呼気は運動エネルギーを持っていて仕切り板の孔を容易に通過して下側に移動しますが、吸気は、仕切り板下側から上がるより先に鼻腔周りで静止している空気から吸引されるため、孔だけでも逆止弁的効果が生まれるという原理です。つまり、孔から少し離れたノズル(鼻腔)からの空気の出し入れを逆止弁的に整流するという特殊な構造がこれを可能にしました。