研究開発

多数のテンプレート地震を用いた震源決定法

気象庁一元化震源の相対震源決定「hypoTD」による震源の3次元表示

hypoTDイメージ公開:2024年5月27日

震源決定の精度向上

地下構造には大きな不均質性が存在し、その不均質性が地震発生時において震源決定の大きな誤差要因になっています。Waldhauser & Ellsworth (2000)による「hypoDD」は、解析する全領域で発生する地震の到着時刻差をデータとして、インバージョンで震源決定する方法です。この方法は、不均質性の影響を取り除くことができる優れた震源決定法であり、多くの研究者により利用されています。
しかし、この方法は、
  • ① 広域で発生する地震には適用できない
  • ② 地震は毎日発生するが、新しく発生した地震を追加することが難しい
  • ③ 計算される震源位置は、ダンピング定数の与え方で変わる
などの課題があることが知られています。

自動震源決定システムの開発

堀内茂木(株式会社ホームサイスモメータ、2024年)・他は、多数のテンプレート地震を用いて一個の地震の震源を決定する自動震源決定システム「hypoTD」を開発しました。これまでに2002年から現在までの410万個の震源が決められており、その震源をWebブラウザ上で3次元表示するシステムも同時に開発し、本ページで公開しています。
このシステムでは、指定する期間の震源を任意の位置と方向から表示ができるので、日本全体での震源分布を表示してプレート境界面の3次元構造を確認できます。また、特定の場所と期間を表示することで、より個々の地震の震源群の構造を立体的に表示することも可能です。
例えば、2024年1月の能登半島地震において、震源域の北東端では主断層と直交する北西下がりの面に沿って地震が発生していることが立体的に確認できます。

能登半島(2023-2024) 上空から
能登半島(2023-2024) 上空から

能登半島(2023-2024) 地中から
能登半島(2023-2024) 地中から

※[株式会社ホームサイスモメータ]多数のテンプレート地震を用いた震源決定法(hypoTD)
https://www.homeseismo.com/html/download_hypo.html(外部リンク)

「hypoTD」による震源分布の3次元表示

過去22年間に日本列島全域で発生した地震の震源分布をWebブラウザ上で公開しました。指定した期間の震源分布を、任意の角度や縮尺で3次元表示することができます。表示される震源は「hypoTD」に基づき、気象庁一元化震源の再決定を行ったものです。

hypoTD Webアプリ画面

  • [画面操作]画面右端のパネルで「震源情報」で読み込む期間(A・B)を設定し、「A~B年のデータを読み込み」ボタンを押すと震源分布が表示されます。
  • [マウス操作]左ドラッグ:注視点の移動(位置変更)
    右ドラッグ:アングルの移動(角度変更)
    ホイール :拡大・縮小
3次元表示を見る

※3次元表示はパソコンのブラウザでご利用ください。

お問い合わせ